-45と-41.5、実際に大きく削られたのは-41.5のほうだった
円高が進んで自動車株が売られた、というニュースを読んだ。東証の業種別で、輸送用機器が値下がり率トップになっている。
記事の横に、5社の数字が並んでいた。
| 現在値 | 前日比 | |
|---|---|---|
| トヨタ | 2,918.5 | -45 |
| スズキ | 1,904 | -41.50 |
| SUBARU | 2,584 | -34 |
| 日産自 | 322.2 | -2.80 |
| ホンダ | 1,575 | +8 |
一番下がったのはトヨタに見える。-45で最大だ。日産はほとんど動いていないように見える。-2.80しか減っていない。
どちらも違った。
単位がそろっていない
前日の終値を出して、減った割合を計算するとこうなる。
スズキ 41.50 / 1,945.5 = -2.13%
トヨタ 45 / 2,963.5 = -1.52%
SUBARU 34 / 2,618 = -1.30%
日産自 2.80 / 325.0 = -0.86%
ホンダ 8 / 1,567 = +0.51%
1位と2位が入れ替わる。一番削られたのはスズキだった。
日産も、金額では-2.80で無傷に見えるが、割合ではSUBARUの3分の2くらいは減っている。もともと株価が322円なので、小さい数字で大きく動く。
金額の大小は、株価の高さに引きずられる。1株3,000円の会社と300円の会社では、同じ1%でも見た目の数字が10倍違う。並んでいる数字を上から読むと、順位を間違える。
RPGのHPだと思うと分かりやすい
これはゲームの体力ゲージと同じ話だ。
HPが300ある仲間と、100しかない仲間がいる。両方に40のダメージが入る。数字は同じ40でも、意味はまったく違う。前者はまだ余裕があって、後者は半分近く持っていかれている。
株価の絶対値は最大HPで、前日比はそのとき入ったダメージだ。ダメージの数字だけ見て強弱を判断すると、HPの差を無視することになる。
ニュースサイトの株価一覧は、たいてい金額で表示されている。率も出ている場合はあるが、目に入るのは大きい数字のほうだ。だから読み手は、いつのまにか最大HPを無視した読み方をしている。
私はそれをやっていた。トヨタが一番落ちたと思って読み進めていた。
1体だけ耐えている
もう一つ気づいたことがある。ホンダだけプラスだ。
同じ円高という属性攻撃を受けていて、同じ業種で、為替の影響も同じように受けるはずなのに、1社だけ上がっている。
こういうときは、別の理由が乗っていることが多い。決算、個別の材料、思惑。何かは分からないが、全体が下げている中で1社だけ動きが違うなら、そこに為替以外の力が働いている。
面白いのは、この違和感は並べて初めて見えることだ。ホンダ単体のチャートを見ても「少し上がった」で終わる。5社を横に並べて、全部下がっている中に1つだけ上があると、そこで初めて引っかかる。
図にしてみた
読んでいて、これはそのままゲームの戦闘画面だと思った。
敵は円高。技は協調介入。属性は通貨。輸送用機器はその属性に弱い。パーティ5体のうち4体がダメージを受けて、1体だけ耐えている。
作ってあるスコアツールが元々ゲーム風の見た目だったので、同じ配色で戦闘ログの形にした。
ダメージのバーは、金額ではなく割合の順に並べてある。ニュースの表と順番が違うのはそのためだ。
数字はニュースに載っていたものをそのまま使っている。こちらで丸めたり、計算し直したりはしていない。使ったのは前日終値を出す引き算だけだ。
学んだのは、数字が縦に並んでいるとき、それが同じ単位かどうかを先に見る、ということだった。
今回は全部「円」で書いてあった。単位はそろっている。それでも比較できない。単位がそろっていることと、比べられることは別だった。
株価に限った話ではないと思う。売上の増加額、フォロワーの増加数、体重の増減。分母が違うものを絶対値で並べると、必ず大きい方が目立つ。そして目立った方が一番大きいと思ってしまう。
割り算を1回するだけで順位が変わる。それだけのことなのに、していなかった。
なおこれは読み方の話であって、投資の判断とは関係がない。どれを買うべきかは、この図からは何も分からない。