CAPITAL FLOW 公開データでたどる

資本の集中は、誰も企まなくても起きる

BlackRock・Vanguard・State Street に保有が集まる仕組みを図にした

① お金の流れ

年金・積立・iDeCo 数億人の個人 毎月ふえる 指数連動ファンド BlackRock / Vanguard State Street ほか 機械的に買う 指数のルール S&P500に入っている =必ず買う。選ばない S&P500 の企業 ほぼ全社の上位株主に 3社合計 約2割 議決権 取締役の選任・株主提案 お金の出どころは個人。議決権を持つのは運用会社

② なぜ集まるのか

📈 指数連動のファンドは、指数に入っている銘柄を必ず持つ。良い会社を選んで買うのではなく、 入っているから買う。選んでいないし、選べない
💰 手数料が安いので、資金が集まりやすい。集まった分だけ、同じ銘柄を機械的に買い増す
🔁 これが何十年も続く。売る理由が無いので、持ち分は減らずに積み上がる
🎯 結果として、ごく少数の運用会社がほぼ全社の上位株主になる
どこにも「集めよう」という意思が入っていない。仕組みだけで集中する。 止めるには指数連動をやめるしかないが、それは手数料の高い運用に戻ることを意味する。

③ 数字と、その出どころ

言えること出どころ
3社合計での、S&P500企業に対する平均的な保有割合 約2割 Bebchuk & Hirst「The Specter of the Giant Three」(2019) ほか。年によって動く
3社が株主総会で投じる票の割合 約4分の1 同上。保有割合より高くなるのは、議決権を行使しない株主がいるため
世界の多国籍企業4万3千社を資本関係でたどると、中心に固まっている企業の数 147社 Vitali・Glattfelder・Battiston (2011, PLoS ONE)。多くが金融機関
その147社が押さえていた、ネットワーク全体の営業収益の割合 約4割 同上

④ ここから先は言えない

「集中している」と「支配している」は別の話。 上の数字は集中を示しているが、意思を持って動かしている証拠にはならない。
・147社の研究をした著者自身が、これは陰謀の証拠ではないと述べている
・保有しているのは運用会社でも、お金の持ち主は年金や個人。勝手に処分できない
・3社は互いに競合していて、議決の方針も一致しない
・そもそも指数から外せないので、気に入らない会社の株も持たされている

⑤ それでも残る問題

🗳️ 株を選べないのに、議決権だけは持っている。 投資判断はしないが、取締役の選任には投票する。この非対称が論点になっている
🏢 同じ株主が同業の複数社を持つと、競争を弱める方向に働くのではという研究がある。 結論は割れていて、決着していない
👥 運用会社の議決権行使を担当する部署は、資産規模のわりに人数がかなり少ない。 数千社を精査できるのかという指摘がある
この図について:構造を示すための図で、個々の企業の正確な持株比率を表したものではない。 数字は公開されている研究から取り、出どころを併記した。割合は年ごとに動くので、 最新の値は各運用会社の開示か、SECのForm 13Fで確認できる。
特定の企業や人物について、意図や計画を主張するものではない。 公開データで確認できる範囲だけを図にしている。
投資判断のための資料ではない。