
Canvaで文字だけのLINEスタンプを40枚作ろうとして、無料プランでは無理だった
目次
絵のないLINEスタンプがある。白い背景にセリフだけが書いてあるやつだ。
あれを作ろうとした。絵を描かなくていいので、セリフさえ決まれば作れる。Canvaならすぐだろうと思って開いた。
結論から書くと、無料プランでは無理だった。止まったのは2箇所で、どちらも作業の途中ではなく、始める前に分かった。
止まった1: 一括作成が有料
スタンプは1セット8枚から40枚。今回は24枚作るつもりだった。
24枚を1枚ずつデザインするのは現実的ではない。文字を差し替えるだけとはいえ、あとで「この改行だと読みにくい」と気づいたら24回やり直すことになる。
Canvaには「一括作成(Bulk Create)」がある。CSVを渡すと、1つのテンプレートから全ページを一気に作ってくれる機能だ。これを使うつもりだった。
アプリ一覧から開いたら、こう出た。
1つのテンプレートから数百ものデザインを一括作成します。7日間無料です
Canva Teams / Business の機能だった。
止まった2: 背景透過が有料
LINEスタンプはPNGの透過が必須だ。白背景のまま出すと、トーク画面に白い四角が貼られる。
ダウンロードパネルを開くと、「背景透過」のチェックボックスに王冠マークが付いていた。Proの機能だ。ついでに「ファイルサイズを制限する」「ファイルを圧縮」も同じマークが付いていた。
つまり、作る方法(一括作成)と出す方法(透過PNG)の両方が塞がっている。片方だけなら回避のしようもあったが、両方となると使いみちがない。
確認はブラウザのClaudeにやらせた
この2つ、自分で画面を開いて探したわけではない。Claudeのブラウザ拡張(Claude in Chrome)に調べさせた。
サイドパネルにこれを貼った。
Canvaで「LINEスタンプ」のデザインを開いています。
これから文字だけのLINEスタンプを作りますが、まず2つ確認してください。
【最初に確認して、結果を報告してから止まってください】
1. このアカウントで「一括作成(Bulk Create)」が使えますか
2. PNGを「背景透過」でダウンロードできますか
どちらかが有料機能で使えない場合は、そこで止めて教えてください。
勝手にアップグレードや課金の操作はしないでください。
【両方使える場合だけ、続けてください】
1. キャンバスを 370 × 320 px にする
2. テキストボックスを3つ、縦に並べる(上・中・下)。すべて中央揃え
3. フォントは太めの手書き風。細い書体は縮小すると消えるので使わない
4. 文字色は #464240(濃いグレー)
5. 上下左右に14pxの余白を空ける
6. 一括作成に、私が渡すCSVをアップロードして、
3つのテキストボックスに「行1」「行2」「行3」を差し込む
7. 空欄の行はそのまま空にする
8. 各ページで文字がはみ出していないか見て、はみ出したページだけ文字を小さくする
9. PNG・背景透過でダウンロードする
【やらないこと】
・絵文字を使わない
・イラストや素材を足さない
・影・グラデーション・縁取りを付けない
・セリフの文言を変えない。誤字に見えてもCSVのままにする
・公開・共有・テンプレート化・課金の操作をしない
作業が終わったら、何枚できたか・手で直したページ番号・使ったフォント名を教えてください。
返ってきたのは「どちらも有料機能でした」という報告と、それぞれどこに王冠マークが出ていたかだった。指示どおり課金の操作はしていない。
この書き方には理由が2つある。
1つは、先に確認させて止めること。 手順を先に書いて走らせると、途中の有料機能でつまずいた時点で中途半端な状態が残る。「まず確認して報告してから止まれ」を最初に置くと、使えないことが分かった時点できれいに終わる。
もう1つは「やらないこと」を書くこと。 これが一番大事だった。特に効くのがこの行だ。
セリフの文言を変えない。誤字に見えてもCSVのままにする
AIは気を利かせて直しにくる。以前、仕入れデータの列が入れ替わって見えたのを「入力ミスですね」と直され、連携先で4行全部弾かれたことがある。元のデータが正しかった。 以来、渡した値をそのまま通させるための一文を必ず入れている。
3つめ: フォントは持ち出せない
ここまでで量産は諦めたが、Canvaにはまだ役割が残っていると思った。フォント選びだ。
文字だけのスタンプは、フォントが絵の代わりになる。字面が商品力そのものなので、ここは時間をかける価値がある。Canvaには日本語フォントが大量にあるから、見比べるにはちょうどいい。
ただしこれも、途中で気づいた。Canvaのフォントは、Canvaの外に持ち出せない。
気に入った字面が見つかっても、そのフォントファイルを手元のスクリプトで使うことはできない。「どんな太さ・どんなクセが好みか」を掴むための下見にはなるが、それ以上ではない。
結局、自前で書いた
やることは決まっている。
| 入力 | 1行1セリフのテキストファイル |
| 出力 | 370×320のPNG(透過)を人数分+メイン画像240×240+タブ画像96×74 |
もともとAI生成の画像をLINE規格に整えるスクリプトがあったので、そこにモードを1つ足した。
入力はこれだけだ。
# 1行1セリフ。# で始まる行は無視
きづいてよ
どうしたの?って/きいて
なんでわかって/くれないの
べつに平気だもん
python3 finish.py --text-only words.txt
※この記事に出てくるセリフは、動作確認用に打ったものなので特に意味はない。長さや記号の有無で挙動が変わるかを見たかっただけだ。
9行のテキストで試したら、数秒で9枚とmainとtabが出た。24枚でも同じだ。あとで改行を直したくなったら、テキストを1行書き換えて再実行するだけで済む。
日本語の改行は自動だと壊れる
作ってみて一番はまったのはここだった。
セリフを画面いっぱいに大きく出すには、複数行に分ける必要がある。文字数で均等に割って、いちばん大きいフォントサイズが入る分け方を選ぶ、という処理を書いた。
結果はこうなった。
べつに平
気だもん
はやくか
えして
単語の途中で切れる。 読めないことはないが、明らかに気持ち悪い。
句読点があればそこで切るようにしたが、句読点のない短いセリフには効かない。「平気」を「平」と「気」に割らないためには、単語がどこで切れるかを知っている必要がある。辞書がいる。
そこまでやる価値があるかを考えて、やめた。代わりに、テキスト側で改行位置を書けるようにした。
なんでわかって/くれないの
/ を入れたところで改行する。自分で書いたセリフなら、どこで切りたいかは分かっている。機械に推測させるより速い。
禁則処理(行頭に「っ」「ー」「!」が来ないようにする)だけは自動で入れた。これは辞書がなくてもできる。
絵文字は豆腐になる
もう1つ。セリフに絵文字を混ぜたら、四角い豆腐が出た。
使っていた日本語フォントに絵文字のグリフが入っていないので、当然といえば当然だ。ただ、これは出力を見るまで気づけない。フォントに文字が無くても、エラーは出ない。静かに豆腐が置かれるだけだ。
なので、実行時に警告を出すようにした。
⚠ フォントに無い文字があります: 😭 ❤ 💖
そのまま出すと豆腐(□)になります。絵文字は使えません。
判定は、その文字の描画結果が「.notdef」(フォントが未定義の文字に使う四角)と一致するかで見ている。グリフの有無を直接聞くだけだと、.notdef にも形があるので見分けられなかった。
Canvaに残った役割
使いみちが無くなったわけではない。
| Canva | 1枚のデザインを決める。字面の下見 |
| スクリプト | 24枚を出す。透過・main・tab まで |
Canvaは1枚作るなら圧勝で、40枚作るなら向いていない。 そこの線引きが分かったのが、今回いちばんの収穫だった。
有料プランに入れば一括作成も透過も使えるが、そのために月額を払うかというと、スクリプトを書くほうが早かった。改行位置を何度も直すことになるのは、作る前から分かっていたからだ。