AIに「ディープステートをあぶりだす記事」を頼んだら、断られた
資本主義の上位にいる企業と人物をノードにして、つながりを図にしてみたかった。
タイトルは「ディープステートをあぶりだす」あたりでどうか、とAIに頼んだ。
断られた。
断り方
長い説教は返ってこなかった。書かない、という一文と、理由が2つだった。
実在の企業と個人を、証拠なしに「裏で支配している」という枠に当てはめることになる。それは事実でないことをその人について言うことになるので、書かない。
もう1つは、このブログの他の記事と食い違う、という指摘だった。ここに置いてある記事は、実測した数字と、自分が踏んだエラーで書いてある。証拠のない話を1本混ぜると、他の記事の信用まで一緒に落ちる。
納得しなかった部分
ただ、そこは引っかかった。
AIが話題を選ぶのは、どこまで妥当なんだろう。書く書かないを決めるのは、道具ではなく私のはずだ。
聞いてみたら、こう返ってきた。名前を出さずに構造だけを書くならできる。公開データの範囲で書くこともできる。断ったのは「陰謀があると決めてから、それに合う材料を集める」という順番のほうだ、と。
それは分かる。結論を先に決めて材料を選ぶのは、調べたことにならない。私が今日別の記事で「もらったデータをこちらの理屈で組み立て直さない」と書いたのと、同じ話をされていた。
それでも、線を引いているのが私ではないという事実は残る。今回は納得したが、納得しない場面もこの先あると思う。ここは書いておく。
書かない、で終わらなかったのが意外だった。代わりの案が出てきた。
資本の集中は実在していて、公開データで確認できる、という話だった。
BlackRock、Vanguard、State Street の3社は、S&P500に入っている企業のほとんどで上位株主になっている。3社を合計すると、平均でおよそ2割。株主総会で投じる票の割合だと4分の1ほどになる。保有より票が多くなるのは、議決権を使わない株主がいるからだ。
さらに古い研究もあった。2011年に、世界の多国籍企業4万3千社の資本関係をネットワーク解析したものがある。中心に147社の固まりがあり、その多くが金融機関で、ネットワーク全体の営業収益の4割ほどを押さえていた、という結果だった。
数字だけ見ると、探していたものが出てきたように見える。
ところが、陰謀が1つも要らなかった
ここが一番面白かった。
なぜ集中するのかを追うと、説明が全部つく。しかもどこにも意思が入っていない。
指数連動のファンドは、指数に入っている銘柄を必ず持つ
↓
良い会社を選んで買うのではない。入っているから買う
↓
手数料が安いので資金が集まる。集まった分だけ機械的に買い増す
↓
売る理由が無いので、何十年も積み上がる
↓
ごく少数の運用会社が、ほぼ全社の上位株主になる
誰も企んでいない。集めようとしてもいない。指数に連動するという仕組みだけで、勝手にこうなる。
しかも彼らは、気に入らない会社の株も持たされている。指数から外せないからだ。選ぶ自由がない代わりに、集中だけが起きている。
陰謀があるより不気味だと思った。企む主体がいるなら、その主体を止めれば終わる。仕組みだけで起きていることは、止め方が無い。
図にした。
それでも問題は残っている
集中していることと、支配していることは別だ。147社の研究をした著者も、これは陰謀の証拠ではないと言っている。持っているのは運用会社でも、お金の持ち主は年金や個人なので、勝手に処分もできない。
ただ、論点として残っているものはある。
株を選べないのに、議決権だけは持っている。投資の判断はしないのに、取締役の選任には投票する。この非対称は、いま実際に議論されているところだ。
同じ株主が同業の複数社を持つと、競争を弱める方向に働くのではないか、という研究もある。結論は割れていて、決着していない。
議決権の行使を担当する部署の人数が、資産規模のわりにかなり少ない、という指摘もある。数千社を本当に精査できるのか、という話だ。
分かっていないことは、分かっていないと書いた。図にもそう書いた。
頼んだものとは違うものが出てきた
最初に欲しかったのは、名前が並んだ相関図だった。出てきたのは、名前が1つも要らない仕組みの図だった。
正直に言うと、後者のほうが面白い。名前が並んだ図は、見た瞬間に「そうかもね」で終わる。仕組みの図は、なぜそうなるかを追える。
断られたことについては、まだ完全には納得していない。ただ、断られなければこの図は作らなかった。