日本酒を学ぶなら『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』

#調べたこと#教養#日本酒

目次
  1. 日本酒の特徴
  2. 日本酒の構成
  3. ラベルを読む
  4. 容量の単位
  5. 4タイプで選ぶ
  6. 季節行事と日本酒
  7. 歴史
  8. 飲んだ記録
  9. 日本酒検定
  10. 教材

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日本酒の基本をまとめました。ラベルの読み方、味のタイプ、合う料理、季節ごとの飲み方まで入っています。

最初の1冊に『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』を選びました。日本酒検定 3〜5級の公式テキストなので、読み終えると検定の範囲がそのまま終わります。1冊で範囲が閉じる本を選ぶと、次に何を読むかで迷いません。

教養の10分野のうち、食から始めることにしたのが理由です。食事の機会は、美術や音楽の話をする機会より圧倒的に多いからです。その話は品格8領域・言葉遣い・教養10分野に書いています。

日本酒の特徴

冷たくても温かくても飲めます。5℃から55℃まで、温度ごとに呼び名があります。

5℃  雪冷え    35℃ 人肌燗
10℃ 花冷え    40℃ ぬる燗
15℃ 涼冷え    45℃ 上燗
20℃ 冷や      50℃ 熱燗
30℃ 日向燗    55℃ 飛び切り燗

季節でも変わります。秋の米を冬に仕込むので、出回るものが季節ごとに違います。

冬〜早春 しぼりたて  荒々しい
春       春酒       うすにごり
夏       夏酒       すっきり
秋       ひやおろし  夏を越して丸い

同じ蔵の同じ銘柄でも、春と秋では味が違います。

造り方にも特徴があります。米を糖にする働きと、糖をアルコールにする働きが、同じタンクで同時に進みます。並行複発酵へいこうふくはっこうといって、醸造酒の中では度数が高くなります。

麹こうじはもう1つ、たんぱく質をアミノ酸に分解します。アミノ酸はうま味です。和食の出汁もうま味なので、重なります。量は裏ラベルの「アミノ酸度」に出ていて、多いと濃く、少ないとすっきりします。

神様に供える酒でもあります。神社に供える酒をお神酒おみきといい、供えたあとに人が飲みます。結婚式の三三九度さんさんくどや地鎮祭じちんさいに残っているのは、その形です。

日本酒の構成

原料   米・米麹・水
分類   醸造酒(ビール・ワインと同じ)
       焼酎・ウイスキーの蒸留酒とは別
成分   約80%が水

味を決めるものは5つです。

1 米       酒造好適米。食用の米とは別の品種
2 水       成分の約80%。硬度で味が変わる
3 微生物   麹菌と酵母。糖化と発酵をする
4 造る人   蔵元・杜氏・蔵人
5 気候風土 地域の気候と食文化。地酒の違い

蔵元くらもとは経営する人、杜氏とうじは造りの責任者、蔵人くらびとは現場で造る人です。

ラベルを読む

表ラベル

① 清酒か日本酒か

酒税法では、日本酒は清酒せいしゅと呼ばれています。ラベルにはどちらかが必ず書いてあります。

② 特定名称酒

8種類あります。3つのグループに分かれます。

グループ 中身と味
A 純米酒じゅんまいしゅ 米・米麹こめこうじだけ。米の成分がそのまま残るので、うま味とコクが出ます。燗かんに向きます
B 本醸造酒ほんじょうぞうしゅ 規定量内の醸造じょうぞうアルコールを足します。アルコールが味を軽くするので、すっきりしてキレます
C 吟醸酒ぎんじょうしゅ・大吟醸酒だいぎんじょうしゅ 原料を問わず、精米歩合せいまいぶあい60%以下。低温でゆっくり発酵させるので、果実のような香りが立ちます

AとBは原料で分かれ、Cは削り具合で分かれます。軸が違うので、AとC、BとCは重なります。

純米大吟醸   A + C
大吟醸       B + C
純米酒       A だけ

ただし傾向であって、決まりではありません。同じ純米酒でも、淡麗たんれいなものと濃醇のうじゅんなものがあります。

醸造アルコールを足す=安物ではありません。香りを引き出して味を軽くするために足します。大吟醸にも足すものがあります。

③ 銘柄の意味

酒蔵(蔵元)の歴史や地域への思い、縁起のよい言葉、創業者の名字などから、蔵元が独自に決めています。縁起のよい漢字が多く使われていて、ハレの日に飲まれていたことがわかります。

④ 製造年月 ⑤ アルコール度数

裏ラベル

① 日本酒度

甘口・辛口を表した数値です。数字が大きいほど辛口になります。

② 酸度さんど

日本酒に含まれる酸の量です。乳酸にゅうさん、コハク酸、リンゴ酸などがあります。酸度が高いほど濃醇のうじゅんに、低いほど淡麗たんれいに感じるとされています。

濃醇とは、味わいが深くしっかりとして、コクがある状態のことです。淡麗とは、口当たりがさっぱりとしていて、癖がなくすっきりしている味のことです。

③ アミノ酸度

日本酒に含まれるアミノ酸の量です。アミノ酸度が高いほど濃醇に、低いほど淡麗に感じられます。

容量の単位

一勺  いっしゃく    18mL
一合  いちごう     180mL
一升  いっしょう    1.8L
一斗  いっと        18L
一石  いっこく     180L

4タイプで選ぶ

香りの高さと味の複雑さで、4つに分かれます。

タイプ 香味の特徴
薫酒くんしゅ 果実や花のようなフルーティーな香り。味わいは軽快なものが多い。華やかな香りは、春から初夏にとくにおいしく感じられます
爽酒そうしゅ 4つの中でいちばん軽快。すっきりして飲みやすい。淡麗と言われる。季節を選ばないので、日ごろの晩酌に向きます。夏はとくにおすすめです
醇酒じゅんしゅ 米ならではのうま味とコクがある。ふくよか。燗にすると持ち味が出ます。秋鮭や寒鰤、ジビエなど脂ののった食材と合うので、秋冬にとくにおすすめです
熟酒じゅくしゅ 黄金や琥珀の色。ドライフルーツやスパイスのような熟成香。とろりとして濃厚。少量をゆっくり味わう場面に向きます。冬は食後酒として、落ち着いた場所で楽しめます

香りは、こういうものに例えられます。

薫酒   マスクメロン・洋梨・リンゴ・桃
       ユリ・キンモクセイ・すみれ
爽酒   スダチ・カボス・青竹・笹の葉
       ハーブ・菜類
醇酒   炊きたての米・白玉粉・栗
       稲穂・生クリーム
熟酒   黒糖・ドライフルーツ・スパイス
       干したキノコ

銘柄の例

本に4タイプ別のポジショニングMAPが載っています。そこから何本かを書き出しました。

薫酒

銘柄 蔵
獺祭だっさい 磨き二割三分/獺祭 45 旭酒造(山口)
純米吟醸 出羽桜でわざくら 出羽桜酒造(山形)
大吟醸酒 八海山はっかいさん 八海醸造(新潟)
吟醸酒 ばくれん 亀の井酒造(山形)
十四代じゅうよんだい 本丸 高木酒造(山形)
新政あらまさ 亜麻猫あまねこ 新政酒造(秋田)

爽酒

銘柄 蔵
大関ワンカップ 大関(兵庫)
白鶴まる 白鶴酒造(兵庫)
越乃寒梅こしのかんばい 石本酒造(新潟)
特別本醸造酒 八海山 八海醸造(新潟)
特別純米酒 一ノ蔵いちのくら 一ノ蔵(宮城)
播州一献ばんしゅういっこん 超辛口 山陽盃さんようはい酒造(兵庫)

醇酒

銘柄 蔵
純米酒 浦霞うらかすみ 佐浦さうら(宮城)
司牡丹つかさぼたん 豊麗ほうれい 司牡丹酒造(高知)
大七だいしち 生酛きもと 大七酒造(福島)
菊正宗きくまさむね 生酛 樽酒 菊正宗(兵庫)
純米酒 神亀しんかめ 神亀酒造(埼玉)
山廃やまはい仕込み 天狗舞てんぐまい 車多しゃた酒造(石川)

熟酒

銘柄 蔵
達磨正宗だるままさむね 三年古酒 白木恒助しらきつねすけ商店(岐阜)
達磨正宗 二十年古酒 白木恒助商店(岐阜)
熟露枯うろこ 五年古酒 島崎酒造(栃木)

獺祭が薫酒に3本入っています。同じ蔵の同じ銘柄でも、削り方で香りの高さが変わるためです。

八海山は薫酒と爽酒の両方に出てきます。大吟醸が薫酒、特別本醸造が爽酒です。

合う料理

合わせ方の基本は同調です。酒と料理の性質を似せます。

タイプ 合う料理
薫酒 華やかな香りや清涼感のある料理。柑橘や果実を添えたもの。前菜に向きます。タコのマリネ香草風味、フレッシュチーズとフルーツトマトのサラダ、白身魚の刺身にスダチ
爽酒 味つけの淡い料理。合う幅がいちばん広いタイプです。油の多いものを食べたあと、口をすっきりさせるのにも使えます。冷製パスタ、野菜のテリーヌ、冷や奴
醇酒 うま味の強い料理、濃い味つけ。チーズやバターを使ったものにも合います。酒盗やカラスミなどの珍味も。豚肉と大根の煮物、ミックスピザ
熟酒 油脂の多い料理、スパイスの効いた料理、熟成したチーズ。濃厚な甘さのデザートにも合うので、食後酒にもなります。麻婆豆腐、パルミジャーノ・レッジャーノ、ウナギの蒲焼き

「辛口の日本酒をください」は、店の人がいちばん困る頼み方です。甘口と辛口は人によって感じ方が違うので、選びようがありません。

4タイプで頼むと、こうなります。

フルーティーな香りの薫酒をください
すっきりした飲み口の爽酒が好みです
コクのある醇酒をください
熟酒タイプでも、飲みやすいものを

こう伝えると、思っていたものと違う日本酒が出てくることを避けられます。

季節行事と日本酒

日本酒は季節の行事と結びついてきました。無病息災、子孫繁栄、五穀豊穣といった願いを込めて飲まれてきたものです。

時期 酒
正月 屠蘇とそ。山椒や桔梗などの漢方を日本酒やみりんに混ぜたもの。平安時代から続き、家族で飲んでその年の健康を願います
3月3日 桃の節句 白酒しろざけ。もとは桃の花びらを浮かべた桃花酒でした。江戸時代からは、蒸した餅米と米麹を仕込んだ白酒に変わります
桜の頃 花見酒。桜を田の神が宿る木と考え、酒を供えて豊作を祈ったのが始まりとされています
夏 氷室酒ひむろざけ。平安時代の貴族が氷を浮かべて飲んだと言われます
9月9日 重陽ちょうようの節句 菊酒きくざけ。菊の花びらを浮かべます。平安時代から伝わります
中秋の名月 月見酒。9月から10月にかけて
10月1日 日本酒の日
冬 雪見酒

邪気を祓う、長生きする、豊作を願う。飲む理由が、どれも祈りです。銘柄に縁起のよい漢字が多いのも、ここにつながります。

季節ごとの飲み方

出回る酒と、合わせる料理も季節で変わります。

季節 酒と料理
春 3〜5月 新酒(しぼりたて)、春酒。薫酒くんしゅが合います。桜鯛の酒蒸し、鶏胸肉のタタキ、山菜のおひたし、菜の花
夏 6〜8月 活性清酒(発泡性)、夏酒、低アルコール。爽酒そうしゅが合います。オンザロックも。鮎の塩焼き、豚の冷しゃぶ、冷やしトマト、夏野菜の天ぷら
秋 9〜11月 ひやおろし(秋あがり)。醇酒じゅんしゅが合います。燗にも。秋刀魚の塩焼き、秋鮭のバターソテー、きんぴら、キノコの炭火焼き
冬 12〜2月 新酒(しぼりたて)。熟酒じゅくしゅが合います。燗にも。鰤大根、鴨の燻製、切り干し大根煮、粕汁

新酒は春と冬の両方に出ます。冬に搾ったものがそのまま出るのが冬、少し落ち着いたものが春です。

歴史

3世紀 魏志倭人伝

3世紀に書かれた魏志倭人伝ぎしわじんでんに、豊作などを祈願するときに酒が捧げられていたと記されています。酒が神事と深く関わっていたことがわかります。

神事に関わる仕事は巫女みこが担っていたので、酒造りも巫女の仕事だっただろうと推測されています。

713年以降 大隅国風土記

大隅国風土記おおすみのくにふどきに、口噛み酒の記述があります。大隅国(いまの鹿児島県東部)で、村の男女が水と米を用意し、生米を噛んでは容器に吐き出して、一晩以上おいて酒にしていたというものです。

唾液の酵素で米のでんぷんを糖に変え、そこから発酵させます。いまは麹がしている仕事を、人の唾液がしていました。「醸かもす」の語源が「噛む」だという説も、ここから来ています。

平安から昭和

時代 起きたこと
平安 寺で僧侶が造る僧坊酒そうぼうしゅ。濁った酒を漉して上澄みを飲むようになり、清酒という言葉が生まれます
鎌倉 造り酒屋が京都に生まれ、全国へ広がります
室町〜戦国 寺の勢力が衰え、伊丹・池田が諸白もろはく造りで大量生産を始めます。麹米も掛米も精白する造り方です
江戸 寒造かんづくり、三段仕込み、火入れが定着します。火入れはパスツールの低温殺菌より数百年前です
江戸 灘と伏見が伸びます。灘は宮水みやみず(中硬水)で男酒、伏見は御香水ごこうすい(軟水)で女酒
明治 1899年に自家醸造が禁止されます。酒税が国の歳入の約3割を占めた時期もありました
昭和(戦中) 1943年に級別制度。米不足で三増酒さんぞうしゅが作られ、酒蔵は8000軒から4000軒に減ります
1970〜80年代 新潟から淡麗辛口ブーム。続いて吟醸ブームが起きます
1992年 級別制度が全廃され、いまの特定名称酒制度に変わります

この記事に書いたことの多くが、ここから来ています。

清酒という言葉      平安の僧坊酒
精米歩合            室町の諸白造り
水で味が変わる       江戸の灘と伏見
特定名称酒          1992年の制度変更
爽酒が多い          1970〜80年代の淡麗辛口ブーム
薫酒が増えた        続く吟醸ブーム

飲んだ記録

飲んだらこの形で残します。項目は本のテイスティングコメントシートに合わせました。

何本か溜まると、自分がどのタイプを選びがちかが見えてきます。そうなると、店で好みを伝えられるようになります。

項目 記録
外観
香り
味わい
4タイプ 薫酒 / 爽酒 / 醇酒 / 熟酒
おいしい飲み方
日時
場所
酒蔵名
銘柄名
特定名称
アルコール度数
原料米の品種
精米歩合
価格
その他

下の8項目は、ラベルを見れば全部書けます。飲まなくても埋まります。

香りの表現例

香りは食べ物に例えます。タイプごとに、よく使われるものが決まっています。

薫酒(吟醸香)
  形容詞   華やか、フルーティー、爽やか、清涼
  甘味     梨・リンゴ・白桃・マスカット・メロン・バナナ
           レンゲ・梅・百合・薔薇・金木犀
  酸味     レモン・ライム・スダチ・柚子・グレープフルーツ
  苦味渋味  クレソン・三つ葉・瓜・山菜・ミント・バジル

醇酒(原料香)
  形容詞   ふくよか、まろやか
  甘味     綿飴・千歳飴・こんぺいとう
  酸味     ヨーグルト・カッテージチーズ
  うま味   白米・上新粉・蒸米・餅・米麹
  その他   生クリーム・バター

熟酒(熟成香)
  形容詞   重厚で複雑、凝縮感が高い
  甘味     ザラメ・黒糖・蜂蜜・バニラ・キャラメル
  酸味     干し柿・干し葡萄・ドライプルーン
  苦味渋味  ヒノキ・杉・樫・松の実・くるみ・アーモンド
  うま味   味噌・醤油・マッシュルーム・椎茸
  その他   黒コショウ・シナモン・クローブ
           紅茶・プーアル茶・松やに・なめし皮

味わいの表現例

濃さ     淡麗(ライトボディ)〜 濃醇(フルボディ)
飲み口   やわらかい・キメ細かい・なめらか・スムーズ
         厚みのある・まったりした

甘口か辛口かは、甘味の成分が多いか少ないかで決めます。うま味が多いときは濃醇、少ないときは淡麗と書きます。

日本酒検定

SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)が実施しています。消費者向けの検定で、テイスティングがありません。飲めなくても受けられます。受検資格は20歳以上です。

唎酒師ききざけしは提供・販売者向けの資格で、別のものです。

級 受け方 受検料
5級・4級 自宅からネットで随時 各1,100円
3級 会場またはCBT(全国のテストセンター) 会場6,000円/CBT7,100円
2級・準1級・1級 下の級に合格してから 公式で確認

出題は四肢択一で50分。5級から3級は、正答率70%以上で合格です。

金額と実施方法は検索で調べたもので、公式サイトでは確認できていません。申し込む前にSSIの公式サイトで確認してください。

教材

本 位置づけ
『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』(楽天ブックス) 日本酒検定 3〜5級の公式テキスト/日本酒ナビゲーター公認。1,970円(2026年8月時点・送料無料)
『日本酒の基』 日本酒検定 2〜1級の公式テキスト/唎酒師ききざけし公認。A4判オールカラー289頁

3〜5級はこの1冊で範囲が終わります。2級から上は『日本酒の基』が公式テキストです。

これから何本か飲んで、味を比べて楽しみながら嗜たしなんでいこうと思います。名前がどこから来ているのか、蔵がいつからあるのかも、そのたびに調べて知識を深めていきたいです。


調べた日 2026-08-16。受検料と制度は変わります。

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